U30支援プログラム第二弾 「0番地」

言葉 藤井颯太郎 動き 本城祐哉 音楽 藤本匠と幻灯劇場

劇団員総出演×生演奏でお送りする一晩限りの音楽劇
物語

海に分断され、八つの陸地に分かれた“いつかの日本”。最も小さな島に住んでいた民族“バンチ”は労働力として本土へ連れてこられ、割り当てられた小さな居住区に住んでいた。それから数十年が経ち差別も偏見も薄れ、その存在自体が人々の記憶から消え始めた頃、バンチは絶滅しかかっていた。

最後の子供たちは、バンチ色の眼をカラーコンタクトで隠して、今日も居住区の外を歩く。

“自分の居場所はここじゃない”と感じる人たちのおはなし。


登場人物/出演者

夜道で落とし物を捜している三牧琢磨とトク佑香。佑香は落としてしまったカラーコンタクトを見つける。三牧はその時、佑香がバンチという民族の末裔であり、日本人とは違う眼の色を隠すためカラコンをしていることを初めて知る。「自分でも知らなかったし、おばあちゃんのおばあちゃんくらいの世代のはなし。昔の話でしょ」と笑う佑香に対し、三牧は何も言えないままその場を後にしてしまう。


M1 神様らしい
陸地が一つだったころ

同じ一人だった

大陸がつながってたら

僕らもまだ つながってた、かも


ファッションデザイナー三牧琢磨/藤井颯太郎

バンチの末裔・コンビニ店長 トク佑香/橘カレン

コンビニでは様々な人種のあれこれが渦巻いている。そもそもコンビニの店長はバンチの子孫であることが多い。この店の店長・トク佑香もバンチの末裔だ。同じくバンチでバイトの富田は自分がバンチであることに誇りを持っていて、お客さんのコンビニ店員に対する態度が悪いのは日本人のバンチに対する差別意識の名残であり、変えていかなきゃいけないと主張する。

寡黙な店員・安田はKOBEの父とOSAKAの母を持つハーフで、実は日本人ではない。言葉の訛りを恥じ極力話さないように努めてきた。日本人でないことも恥じていて、それを理由に恋人と別れたばかり。

ある日、どうやっても捕まえることができない、正々堂々とした万引き犯が現れる。


M2 ヘブンイレブン
コンビニエンスは凸レンズ
歪んだ世界を詰め込んだ
欲しいもの大体置いてるらしい
あたしが欲しいものは何?教えて欲しいよ


バンチの末裔2・バイト富田/松本真依 

KOBEとOSAKAのハーフ・バイト安田/村上亮太朗

不眠症万引き女/小野桃子  

ファッションデザイナー・TAKUMA MIMAKIが行方不明になって一週間。とうとうショー当日になってしまった。急遽代理として現れたデザイナー宮迫は、民族衣装バンチをモチーフにした新作の着せ方が全くわからない。頑張ってモデルに思い出してもらおうとするが、モデルも当日呼ばれた代理。しかもそのモデルは慌ただしいショーのバックヤードに『ゆのちん』なる将来の彼女(今はまだセフレ)を連れてきている。当事者不在の中、僕らはどこまで彼らを思いやれるんだろうか。


M3 三喰(ミハミ…バンチの民謡)
け つ く ま ま あ な た は お し
よ せ や ま に な る う け い れ
な が さ れ る ま ま な み の あ
や か え ら ぬ ひ と お し も ど す


デザイナー代理の宮迫/本城祐哉  

裸のモデルみっくん/城野佑弥

ゆのちん/鳩川七海  

とある事件を境に引き籠もりになってしまった東和也は、姉である東寧々の力を借りて、引き籠もりながらも復讐を果たすために事件の犯人を監禁することに成功する。

寧々は外国人嫌いの両親に「我が家と縁を切るか、KOBEの恋人と別れるかしろ」と迫られ、引き籠もりの弟を置いて出て行く訳にもいかず、別れを決意する。


引き籠もりの監禁犯 和也/谷 風作

弟の為に恋人と別れた姉 寧々/平元花奈

おばあちゃんの遺品整理をする幸平は、自分にだけおばあちゃんの幽霊が見えることに気がつく。片付けを手伝いに来てくれた友人・真田には祖母の姿が見えないらしい。祖母に育てられてきた幸平は、仕事人間の母親を嫌っていた。それだけに、ボケてしまった祖母に母親と間違えられたことが許せなかった。介護を母親に任せて三日後祖母は死んだ。遺品を片付けるたびに、祖母の記憶や理性の断片がまざまざと浮かび上がり、目の前にいるのは“幽霊”ではなく“自分に都合の良い妄想”なのではないかと気づき始める。


M4 脈より早く時をうつ
一日の意味を僕はまだ知らない
虫に新たな名つけるように
見つけた星を指先で潰すように
待つ人は現れない まま
最後の砂がこぼれていく


サックスを吹くおばあちゃん/今井春菜

友達がいないけどカホンは叩ける孫 幸平/新保七海

デリカシーがない友人 真田/戸根亮太

Piano/富永みさと 

Acoustic guitar/波羅誠治 


M5 神様らしい(リプライズ)
覗き込む黒い眼
温度の低い深呼吸
熱い夜の影から
なにをみているの?


大陸のように分断された五つの物語は、

少しずつ交流を始め、

やがて一つの大きな終息へと向かっていく。

“バンチ”という一つの民族が絶滅するまでを描く音楽劇。


STAFF:

言葉 藤井颯太郎/動き 本城祐哉/音楽 藤本匠と幻灯劇場/衣裳 杉山沙織

音響 岩谷紗希/写真 松本真依/舞台監督 河村 都・浜村 修司

舞台写真撮影 中谷利明

日時:2020年 2月8日(土)17時20分

料金:一般 1000円 高校生以下 500円

場所:京都府立文化芸術会館

主催:幻灯劇場・京都府

指定管理者 創・Kyoto演劇フェスティバル実行委員会


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